本記事はデジタコについて解説していきます。
よくトラックドライバー等の求人で「デジタコ全車装着」等と書かれているのを見た事がある方は多いでしょう。
そこで「デジタコって何?」と思った方も多い筈です。
早速結論から言いますと・・・
【デジタコの画像】
(画像引用元:DTS-D2D デジタルタコグラフ デジタコ 富士通)
デジタコは機種によって色々なタイプがありますが、画像のオーディオみたいなタイプが一般的です。ちなみに私の会社でも画像と同じデジタコを使用しています。
デジタコは自動で色々な情報を記録してくれますが、ドライバーが操作しなければいけない事もあるので、本記事では現役トラックドライバーである私がデジタコの基本的な使い方や役割等を解説していきます。
特にこれからトラックドライバーになろうかどうか考えている方は参考にして下さい。
デジタコの基本的な使い方
デジタコの基本的な使い方について解説します。
デジタコはドライバーが操作しなければいけない事もあります。
個々について詳しく説明します。
出庫と帰庫
車両のエンジンをかけるとデジタコも作動し、第一にドライバーがしなければいけない事として出庫です。ドライバーには個人個人に番号が充てられている(社員番号等)ので番号を入力して出庫処理を行います。
出庫が行われると、誰が運転しているのか記録される様になります。
また運行を終えた時は、帰庫処理を行わなければなりません。(右側にある9番を押す)
帰庫を行う事によって、その日に運転したドライバーの出庫時から帰庫時までの継続的な運行記録が分かる様になります。
停車時の行動を入力
出庫を行ってからは、デジタコでは以下の内容を全て自動で記録してくれます。
走ったり停まったりする分にはデジタコは自動で記録してくれますが、重要なのは停車時にドライバーが何をしてるのかという部分です。
停車時にドライバーが何をしているのかは、手動で該当する行動のボタン(右側の番号)を押す必要があります。
ボタンを押す事によって停車時に行っている行動の時間が記録されます。
ドライバーが停車時に行動している内容として特に重要なのは以下の4点です。
特に2024年4月から働き方改革としてトラックドライバーの労働時間に対してかなり厳しくなったので、上記の内容を正確に入力する事が重要になっています。
実際の所、トラックドライバーの労働時間(拘束時間)が長くなる原因として、荷主都合の割合がかなり占めている事は否めません。
今後は、荷積み、荷降ろし、待機にかかる時間を荷主に提示しながら共に改善していく必要があります。
ボタンを押し忘れた場合は?
ボタンを押し忘れてしまう場合もあるでしょう。私の場合はボタンをしょっちゅう押し忘れてしまいまいます。
もし押し忘れてしまったら、大体運転する時に気付くと思うので、気付いた時に必ず押す様にしましょう。
何故かと言うと、作業時間が短く記録されたとしても、基本的には停車している記録は残っているので、その時間の作業内容さえ分かれば、停まっていた時間はその作業を行っていたと解釈出来るからです。
待機と休憩のどちらか迷った場合は?
待機と休憩はどちらにしたらよいのか迷う場合があると思うので私が行っている選別の仕方を紹介します。
待機:荷主都合で待つように言われた場合
休憩:遅れない様に自主的に早く出発して時間が余っている場合
荷主都合か自己都合かによって分けています。
高速道路と一般道路の切り替え
高速道路と一般道路の切り替えは、ETCで反応するので基本的には自動で行ってくれます。
ただし、高速道路の無料区間を走る場合等はETCが無いので手動で切り替える必要があります。
※切り替えるのには「道路」の下にあるボタンを押す
なぜ切り替えなければならないのかと言うと、高速道路と一般道路では法定速度が違ってくるからです。
後で詳しく説明しますが、デジタコでは速度オーバーまでしっかりと記録が残ってしまうので、高速道路に乗ったにも関わらずボタンを押し忘れてしまうと、かなりの速度オーバーとして記録に残ってしまうので会社によっては面倒な事になります。
デジタコが運行時に警告する内容
デジタコは危険な運転を感知すると音声でドライバーに警告すると同時に記録としても残してしまいます。
個々について説明します。
速度オーバー
デジタコは設定された速度(会社によって異なります)に近づくと、「速度を控えて下さい」と言い、速度オーバーすると「速度オーバーです」と言います。
つまり速度オーバーし続けると、ずっと警告され続けるので、まともな運送会社(安全運転を徹底する会社)に入っているのなら、うるさくて速度オーバーはする気にもなれません。
ちなみに私の会社ではデジタコの速度を以下の様に設定されています。
一般道路:60km/h以下
高速道路:90km/h以下(2t、4tトラックも)
高速道路の無料区間でうっかりと切り替えボタンを押し忘れてしまうと警告され続けられますし、どの位速度オーバーしたのか記録も残ってしまうので切り替えボタンは必ず押しましょう。
長時間運転
長時間運転(過労運転)は事故の元とされているのでトラックドライバーは、430休憩(よんさんまるきゅうけい)といって、原則として4時間の間に30分以上の休憩を取らなければなりません。
デジタコは連続走行時間が3時間30分の時に「まもなく長時間です」と警告してくれます。
30分以上の休憩を取る事によって連続走行時間がリセットされるので安全な場所にトラックを停めて休憩しましょう。
急加速、急ブレーキ
デジタコは急加速、急ブレーキに対しても反応し警告します。
一番厄介なのは信号の変わり目です。特に荷物を積んでいる時は少し強めにブレーキを踏むだけでもすぐに反応してしまうので神経を使います。
よく街中でトラックは信号の変わり目でも結構通過するのを見かける事は多いでしょう。もちろんなかなか止まれないから、という理由もありますがデジタコに急ブレーキをカウントされる事を嫌って通過している人もいる筈です。
振動
デジタコは振動でも反応し「危険な運転です」と警告します。
特に高速道路で反応しやすくなります。車線変更をする時に轍(わだち)で反応する事もありますし、ちょっとした段差だけでも反応してしまう場合もあります。
振動の警告に対しては過敏な部分があるので普通に運転しているだけで反応してしまう時はあまり気にする必要はありません。
デジタコの義務化について
デジタコは2024年4月から以下の車両に装着する事が義務化されました。
※厳密に言うとアナタコ(アナログタコグラフ)【円形のタコチャート紙(記録紙)に走行距離や速度、時間、運転状況を線として記録する運行記録計】でも良いとされています
つまり4tトラック以上(中型トラック)の事業トラックは義務化されているという事です。逆に言うと2tトラックの様な小型トラックは義務化されていません。
私の個人的な考えですが、小型トラックにも装着している会社の方が良いと思います。理由としてはデジタコを装着する会社の方がしっかりとした会社だからです。
余談ですが大手運送会社となると、緑ナンバーならハイエースだろうが全て装着している所もあります。
デジタコによる監視について
最後になりますが、トラックドライバーはデジタコやドラレコによって監視されています。なので基本的にはドライバーはいい加減な事は出来ないと思って下さい。
ただ監視されている度合いは入る会社によって全然違ってきます。特に厳しいのは大手運送会社です。
実際に某大手運送会社の社員に聞いた話ですが、以下の様にかなり厳しく監視されているそうです。
- 位置情報がリアルタイムでモニターで監視されている
- デジタコが危険運転を感知するとすぐに電話がかかってくる
- 危険運転と感知された状況を報告しなければならない
ここまで厳しく監視されていると、運転するのにもかなり神経を使っているそうです。
また会社によってはデジタコによる危険運転の回数がドライバーの査定に響く所もあります。
逆に規模が小さい様な運送会社は、監視が緩々な所があります。一般道で平気で70km/h以上出すようなトラックの会社は規律がかなり緩いと思って下さい。(ドライバーが不正に手動で高速モードにしている可能性もありますが)
つまり何が言いたいのかと言うと、会社の規律が厳しすぎる所だと窮屈で、緩すぎる所だと全体的にいい加減でブラック企業の可能性が高くなります。
なので監視状況は、厳しすぎず、緩すぎない良い塩梅の会社を選ぶ事をおすすめします。
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