本記事では傭車(ようしゃ)について解説します。
物流業界では傭車という言葉は頻繁に使われています。
本記事では現役トラックドライバーである私が傭車について依頼する側と請ける側の視点で解説します。
庸車を依頼するメリット・デメリット
傭車を依頼する側のメリット・デメリットは以下の通りです。
傭車を依頼する側からの視点だと、必要な時だけ傭車を使う事が理想ですが、現実的にはあまりにも都合が良い事ばかり考えるとどこの会社も仕事を請けてくれません。
続いて傭車として請ける側の視点で解説します。
傭車を請ける側の立場でされたら困る事
私が所属する会社でもそうですが、中小企業の大部分の運送会社は大手運送会社や物流会社の仕事を傭車として請ける事によって成り立っています。
会社によっては取引先が1社だけの所もあれば、10社以上の所もあります。(私の会社では取引先が10社以上有り)
ここからは、私がいる会社での実体験を元に傭車を請ける側の視点として困る事を挙げていきます。
具体的に解説していきます。
突発的な休車
傭車を請ける事によって成り立っている様な会社の場合は、イメージとしては派遣会社に近い様な感じで運営しています。
つまりドライバーを派遣してなんぼの世界です。
取引先が常に仕事を依頼し続けてくれればあまり問題はありませんが、元請の仕事量が少なくなって急に「明日は休車」等と言われればとても困ります。
実際に私は某大手運送会社を担当していますが、突発的な休みが多くてとても困っています。しかも休車を告げられるのはほぼ前日の夕方にです。もちろん休めば休日扱いになるので収入が減ってしまいます。
会社側もその事は分かっているので他の仕事を手配しなければならなくなり配車係の手を焼いてしまっています。
あまりにも突発的な休車が多いので、私の会社は「取引をやめたい」と伝えましたが先方は「それは困るからなるべく休車にならない様にする」という話になりましたが、結果として少しマシになった程度です。
つまり何が言いたいのかと言うと、傭車を請ける側の立場なら相手先の都合だけで仕事を依頼したり休車にしたりする様な所とはなるべく取引したくない訳です。
ルール違反となる仕事の依頼
請ける仕事の中で指示された通りに業務を行うとルール違反となる事は決して少なくありません。
特に2024年4月からは労働時間や休息時間や休憩時間に対してルールが更に厳しくなってしまいました。
残業時間の上限は多くの会社はある程度把握していますが、特に「翌日が仕事の場合は最低9時間以上は空けなければならない」というルールに関しては、仕事を依頼する側が把握していないという事が少なくありません。
傭車を請ける側からしてみれば退社時の点呼から出社時の点呼を最低9時間以上空けなければならないので、帰りが遅くなった仕事の次に、早く出社しなければならない仕事を充てられた場合は、高速道路を使用する等対策しなければならなくなってしまいます。
何が問題かと言うと、仕事を依頼する側が細かなルールを把握していないという点です。
仕事を請けられる様にするには、休息時間を確保する為に帰りや行きで高速道路を使用しなければ出来ない等と話をしなければならなくなってしまいます。そこで高速道路代をどちらが持つかという話をしなければいけなくなったりします。
おそらく他の会社でも休息時間確保の為に、高速道路代をどちらが持つのか揉める事が増えているでしょう。
突発的な取引停止
先述した様に中小企業の運送会社は、他社から仕事を請ける事でほぼ成り立っています。つまり1人のドライバーに対して担当する取引先が大体決まっています。
そこで取引が停止となると、ドライバーの人件費とトラックの維持費を確保する為に新たな取引先を探さなければなりません。
もちろん傭車を依頼する側も事情があるので取引を停止する事があるのはやむを得ない事ですが、突発的であったり、あまりにも取引が終了となるまでの期間が短いと、下請側の会社は急いで取引先を探さなけばいけなくなるので非常に困ります。
傭車の課題として
最後にポイントをまとめますと、傭車を依頼する側にとっては必要な時だけ傭車を利用する事が理想ですが、傭車を請ける側にとっては、仕事量が不安定な所とはなるべく取引したくない訳です。
傭車を依頼する側は、必要な時に仕事を引き受けてくれる取引先を抱え込んでおかないと輸送力が落ちますし、傭車を請ける側は安定した仕事量がないと会社の運営も厳しくなります。
※実際に多くの中小運送会社は倒産しています
傭車を依頼する側も請ける側も、上記の課題をクリア出来なければ物流は崩壊するでしょう!
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