本記事は現役トラックドライバーである私が、運送業界の無駄な事と今後改善していかなればならな事について触れていきます。
現場で働いている身であるからこそ分かる事ですが、トラックドライバーをやっていて一番の問題点は効率的に荷物を運べていないという点です。
その結果として運送業界は以下の様に負のスパイラルに陥っています。
- 効率良く物を運べない
- 運送会社にまともな運賃が入ってこない
- トラックドライバーの給料が安い
- トラックドライバーの仕事に魅力感じない為、人手不足
今まではトラックドライバーが長時間働く事によって何とかカバー出来ていましたが、2024年4月以降から働き方改革によって長時間労働が出来なくなった事と、更にトラックドライバーの人手不足が進む事によって、今後は物流クライシスに陥っていくでしょう。
はっきり言って運送業界には問題点はたくさんありますが、まずは効率的に荷物を運ぶ必要があります。
本記事では運送業界には、どの様な無駄があって、今後どの様に改善していかなければならないのかトラックドライバーの目線で解説します。
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現役トラックドライバーが感じる運送業界の無駄な点
現状ではドラックドライバーの仕事は無駄が多く効率的に物を運べていないと感じる事がたくさんあります。
具体的に言うと・・・
- 空荷状態での長い走行
- 待機時間
- 時間がかかる荷役作業
- 荷物がスカスカの状態での走行
個々について解説していきます。
空荷状態での長い走行
トラックドライバーの仕事は割と空荷の状態で走っている事があります。
実際に私が経験した事がある仕事の例を紹介します。
- 仕事場が隣県で行きと帰りが空荷状態(往復で約180km)
- 荷物を降ろした後は空荷状態で帰るだけ(片道約200km)
100km以上も空荷の状態で走っていると、現場の人間としてはとても無駄に感じます。
待機時間
トラックドライバーの仕事は結構待機時間があります。特に問題となっているのが積み場と降ろし場での荷待ち時間です。
1時間以上待つのは決して珍しい事ではなく、酷い場合は3時間以上待つ事もあります。現場の立場からすると「待っている間に他の仕事も出来たのに」と思う事は多々あります。
荷待ち時間は何も生み出す事もなく、限られたトラックドライバーの労働時間(拘束時間)を奪うだけです。
荷待ち時間を減らさない限り、運送業界に未来はないでしょう。
時間がかかる荷役作業
トラックドライバーの労働時間の中には荷役作業時間(荷物を積み降ろしする時間)があります。
特に時間がかかるは手積み手降ろしです。
具体例としてカップラーメンの手積み手降ろしについて解説します。
【カップラーメンの手積み手降ろし】
上の画像はカップラーメンですが、積む時はパレット積みしてある荷物をバラして手積みした状態です。降ろす時は降ろし場にあるパレットに手で載せ替えるというとても地味な作業です。
画像は4tトラックですが、積む時も降ろす時も、それぞれ大体2時間前後はかかってしまいます。つまり積み降ろし時間だけで大体4時間位はかかるという事です。
パレットの積み降ろしであれば積む時も降ろす時も15分前後で済みます。
ではなぜパレット積み、パレット降ろしにしないかと言うと理由があります。
- 積み場と降ろし場で使用しているパレットの規格が異なるから
- パレットを使用すると積載効率が落ちるから
いずれにしても荷主側の都合です。
大体の荷主は積む時も降ろす時も手伝ってくれないので時間がとてもかかります。
先程の荷待ち時間と繋がる話ですが、荷役作業時間がかかる場合は、後に待っているトラックも待たせる形になっているのでとても悪循環です。
荷役作業時間を減らす為には荷主側の協力が必要ですが、なかなか進展していません。
荷物がスカスカの状態での走行
荷台には荷物が常に満載の状態で入っている訳ではありません。仕事内容によってはかなり荷物がスカスカの状態でそれなりの距離を走る事もあります。
現場の立場からすると「たったこれだけの荷物を運ぶ為だけに走るのは勿体ない」と感じる事はよくあります。
今後はトラックドライバーの人手不足が更に深刻化するので、1回の輸送でなるべくたくさんの荷物を運んでいく事が重要です。
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今後の課題は効率化
ここまでを整理すると運送業界の無駄な事として
- 空荷状態での長い走行
- 待機時間
- 時間がかかる荷役作業
- 荷物がスカスカの状態での走行
つまり労働時間の割合に対して荷物を満足に運べていないという事が多々あります。
運送業界で今後の課題は効率化です。
- 共同配送
- マッチング
- スムーズな荷積み、荷降ろし
効率良く荷物を運ぶ為には、特に上記の3つがポイントとなるでしょう。
個々について解説していきます。
共同配送
今までは個々の荷主が運送会社に仕事を依頼する事が多かったので、荷物がスカスカの状態で走る事がよくありました。
今後は荷主同士がライバル社であっても、物流の面では協力し合い共同配送を行っていく事が重要となっていきます。
共同配送とは簡単に言うと、1台のトラックに対して複数の荷主の荷物を積んで運ぶという事です。
共同配送を行っていけば荷物がスカスカの状態で走るという事がかなり減っていくので、運送会社にとっては荷物の量が運賃に反映されていく事が期待出来ます。
マッチング
空荷状態での長い走行を解決させる為にはマッチングという仕組みが重要になってきます。
空荷状態で走る例としてよくあるのが、荷物を降ろしてから会社へ帰るまでの間です。これが降ろし先から会社に帰るまでの間に仕事があった場合はどうでしょうか?空荷状態での走行をかなり減らせます。
この様に荷主と運送会社を効率良く繋ぐのがマッチングサービスです。
実を言うとマッチングサービスは既に存在していますが、まだあまり浸透していません。
最近だとヤマトHDがマッチングサービスを始めました。
(以下参照)
ヤマトホールディングス(HD)は21日、効率的な共同輸送に向けて、荷主と物流会社のマッチングを行う新会社を設立したと発表した。
トラックの積載率を向上させることで配送の効率化を目指す。運転手不足が深刻化する「物流2024年問題」を契機に、業界で長年の課題だった低い積載率を改善する取り組みが目立ってきた。
マッチングが上手くいけば空荷状態の走行を減らせて効率良く荷物を運べる様になります。
スムーズな荷積み、荷降ろし
ここまで荷物を効率良く運ぶ為には「共同配送」と「マッチング」がポイントだと伝えましたが、大前提としてスムーズな荷積み、荷降ろしが出来なれば実現出来ません。
せっかく1台のトラックに効率良く荷物を積み込めたとしても、無駄な時間(荷待ち時間、荷役作業時間)が長ければ全てが台無しとなってしまいます。
つまり共同配送やマッチングで輸送効率を良くする為には、時間がかかる様な荷主を避ける必要があります。
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運送業界は今後どうなる?
物流はこのままでは輸送力が落ちて上手く機能していかなくなるでしょう。
一番の原因はトラックドライバーになる人が減っているからです。トラックドライバーになろうとしている人が少なくなっているのは何だかんだ言っても「仕事内容、リスク、免許の取得費用に対して給料が安いから」これに尽きると思います。
裏を返せば、昔の様に「トラックドライバー=稼げる仕事」となれば人手不足は解決する筈です。
しかしながら物流2024年問題としてメディアで色々と騒がれても、荷主は何も変わっていない(運賃、付帯作業、手積み手降ろし、荷待ち時間等)所はたくさんあります。
なので物流は一度崩壊してしまった方が手っ取り早い様な気がします。
- 小規模運送会社が倒産
⇒運送会社の数が減れば運賃の値崩れが起こりづらくなる - トラックドライバーの厚い年齢層が引退
- トラックドライバー不足によって物流の崩壊
- 荷主が危機感を感じ改善
⇒輸送の効率化が本格化
⇒運賃が正常化 - トラックドライバーの給料が上がる
- トラックドライバーの人手不足問題が解決
もう既に1の段階であり、2030年以降は2の段階に入ります。
運送業界が良くなる為には3の段階で物流が本当に崩壊するかどうかがポイントとなりそうです。
はっきり言って、物流が崩壊してあらゆる業種が本当に困る状態にならなければ大きな変化はないでしょう!
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